総合教育科目|Ⅲ系人文・社会系・複言語・複文化入門Ⅰ
自分のなかの複数性を培うために
「複言語・複文化入門Ⅰ」は、経済学部の修了証認定プログラム「第二外国語プラス!」が2026年度にスタートしたのにあわせ開講されました。これは、必修科目である第二外国の学習を単に語学力向上で終わらせるのではなく、各言語を話す人々の文化や社会や歴史にまで関心をつなげ、多様な世界で生きる一人の人間としてふさわしい教養を身につけてほしいとの期待を込めて誕生したプログラムです。その期待を共有するこの授業では、ふだんは経済学部で第二外国語を教える教員たちが次々と登壇し、どのようにその言語と出合い、現在の自分の研究につなげているかを講義します。語学教員は今でこそ言語の達人ですが、多くの人は大学時代に初めてその言語を学び始めています。そして、今はその語学力を駆使して、文学・言語学・哲学・歴史学・政治学・社会学などさまざまな研究をしています。このオムニバス講義では教員たちの経験を通じて、語学学習の向こうに広がる生き生きとした多様な世界を伝えていきます。
同時にその多様な世界は、切り離された他者として、自分の外部に存在する世界ではありません。語学を学ぶことは、自分自身のなかに言語的複数性を呼び込み、複数の文化に対して自分自身を拓き、自らの複数性を培うことでもあります。そして、内なる複数性を愛せる人は、自分とは一見異なるかに見える他者をも愛せる寛容さをきっと持ち合わせるはずです。それが複数的な世界で生きるために必要な教養といえるでしょう。
科目名にある「複数言語・複数文化」は、欧州評議会がヨーロッパ言語学習のために設定した共通参照枠(CEFR)のなかで提唱している理念です。また、慶應義塾大学の外国語教育研究センターでは以前からこの理念を語学教育の指針として奨励しています。この講義ではこの理念を継承しつつ、語学教育のその先に照準を合わせることで、現代社会の複言語・複文化的様相の認識と理解を促し、さらにはそのような複言語・複文化的世界の中でいかに生きるかを考える機会となることを目指しています。