慶應義塾

授業紹介:ドイツ語

外国語科目|外国語Ⅱ・ドイツ語

ドイツ語を学ぶ意義

毎年ドイツ語の授業の初回に、ドイツ語を選んだ理由をみなさんに聞いてみています。回答傾向からは、ドイツ語圏の伝統的なものに対するみなさんのイメージの豊かさに比べ、現代のドイツに対する印象はやや薄いことが見えてきます。その背景には、日本にいると(ドイツがGDP世界第3位の経済大国であることはしばしば耳にしますが)ドイツの人びとの暮らしに関する情報に触れる機会が少ないことがありそうです。しかし、日本からだと見えにくい部分にこそ、ドイツ語を学ぶ大きな意義が隠れていると思います。みなさんにとっての大きなチャンスもまた、そこにあるはずです。

今日のドイツを訪れてみて驚くのは、人びとの多様性です。特に大都市や大学街では、足を踏み入れた瞬間に分かるほど人びとの出身国や背景が多様なのです。それもそのはずで、ドイツは伝統と蓄積のある学問・芸術や様々な専門技術を学ぶため、またドイツで働くために世界中から人が集まってくる場所だからです。私がドイツで出会うことができた友人たちも、ヨーロッパの東西南北と中欧、アフリカ、中東、そしてアジアの他地域、北中南米の国々の出身、またはそれらの地域にルーツを持つ人が大半でした。さらにドイツ語圏内部の文化的差異もあるわけですから、ドイツでは人びとの間の様々な差異は例外ではなく「デフォ」です。

そんな友人たちとの何気ない会話を想像してみてください。小さなことから大きなことにいたるまで、前提と発想の違いに驚かされるのが日常茶飯事です。でもそこにこそ、何物にも代え難い面白さがあるのです。ドイツでは、そんな環境においてこそ生まれてくる「自由」の精神が空気の中に漂っています。

みなさんは「多様性に触れることで視野を広げよう」といった言葉をこれまでに何度も聞き、ひょっとしたらウンザリしているかもしれません。ですが、そこへといたる道のりについて、どんな風に想像していますか?少なくとも、ドイツ語を学ぶことで目の前に広がりはじめ、はるか遠くへと続く道は、一歩踏み出してみれば想像を絶するほど彩り豊かで愉快なものです。

教室でドイツ語の教科書を開き学ぶ学生たちの写真

「でもドイツ語ってスペイン語やフランス語や中国語より難しいんでしょ…」と思うかもしれません。確かにドイツ語には英語にはない文法上の概念が色々とあります。とはいえ、それはどの言語にも当てはまることで、ドイツ語が特別難しいというのは噂にすぎません。逆にドイツ語には英語と比べて簡単なところも色々あります。たとえば単語の綴りを見れば一発で発音が分かる点です。一定数の発音規則さえ覚えてしまえば、あのなにやらかっこいい(?)響きをかなりの程度コピーできてしまいます。そして語順の自由度の高さもドイツ語の面白さです。この特性の達人が生み出した詩の中には、この世のものとは思えないほど美しいものがたくさんあります。ドイツ語を勉強してみて是非味わってみてください。きっとビックリしますから。

ドイツ語の面白さにハマり、その魅力を語るのが大好きな教員一同、みなさんと時間を共有できることを心から楽しみにしています。

(准教授 隠岐 理貴)